コトノハ|編集と出版

コトノハメディア135 コトノハがわかる

[Essay]コトバの立ち上がる場所1 コトバの湧き出る場所を探して

出版をはじめてから、いや、出版をしたいと思っていたころから、コトバをずっと探してきた。

高校時代は、コトバを探すために、神保町までほぼ毎日通っていた。

通りにひしめく古書店を隣から隣へと、自分が求めるコトバが載った本を探して歩いていた。

コトバはいま、スマホをのぞけば、たちどころにあらわれる。

ひゅんひゅんと、どこかのだれかの、たくさんのコトバが見つかる。

ツイッターがではじめた頃、ぼくは池上の30平米ほどの賃貸マンションに妻と2人で暮らしていた。

駅から歩いて20秒のところにあるそのマンションは、英語の「dense」というコトバがよく似合っていて、70世帯ほどがぎゅぎゅぎゅっと肩を寄せ合っていた。

だから、冬は暖房をつけなくてもあたたかかった。

その部屋で、パソコンに向かって、いろいろなコトバを打ち込んでは、コトバを探していた。

その時、ぼくが探していたコトバは、なんというか、住んでいたマンションの部屋のように誰かとぎゅっと肩を寄せ合いたいという欲求を満たしてくれるようなものだったのだろうと思う。

気になったコトバを発するアカウントをフォローして、発言をずっと遡って読んでいく。

なんかいいな、と思った人もいたけれど、ぼくはツイートの発信者に会おうとはしなかった。

その頃のぼくは、人に積極的に会いにいきたいという欲求はほとんどなかった。

昔から知っている仲間と、1年に1度くらい会って酒を飲みにいく。

そんな感じだった。

だから、ひたすらネット越しに、コトバを探していた。

いつしか、なぜぼくが好きなコトバは、どれも似通っているのかと思うようになって、分析してみたりした。

しかし、素晴らしいコトバに出会うと、その分析したことも忘れて、コトバの発見を祝った。

そして、コトバが生まれる場所は、いったいどこなのだろう、コトバはどこから湧き出してくるのだろう、と考えるようになった。

[Essay]コトバの立ち上がる場所1 コトバの湧き出る場所を探して
針谷周作・コトノハ代表

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