コトノハ|編集と出版

コトノハメディア135 コトノハがわかる

呑ん兵衛と池上線

終電を気にしながら酒を飲み、やがて酒に飲まれて…

■雪が谷大塚の一軒め酒場で一杯
 今年も年の瀬が近づいてきました。年の瀬といえば忘年会。お酒を飲む機会が必然的に多くなります。池上線にも地元色の強い味わいのある飲み屋さんがいっぱいあると聞いていますが、私は住まいが杉並ですが、やはり最終電車は気にして飲むことになります。
 例えば、平日の話として、私の大好きな「にごり酒」が、230円で手軽に飲める雪谷大塚の一軒め酒場で飲んでいるとしましょう。午前零時過ぎにお店を出て、雪谷大塚0時21分発の最終五反田行に乗れば0時33分五反田着、0時43分のJR山手線外回り最終の池袋行で新宿1時ジャスト着、ホーム向かいの中央線各駅停車1時1分発三鷹行最終に乗れば、下車駅から歩いても2時前には家のベッドで熟睡できます。

■意外に遠くまで帰れる池上線
 さらに、五反田からの山手線では、外回りが池袋まで、内回りが品川まで行くことができ、雪谷大塚0時26分発の蒲田行最終なら、蒲田でJR京浜東北線に乗り換えて桜木町まで行けます。もう少し早く、零時までにお店を出て、0時過ぎの電車に乗れば、五反田経由で山手線外回りなら池袋行に乗って、新宿乗り換え中央線で高尾、高田馬場乗り換え西武新宿線で新所沢、内回りでも田端乗り換えで赤羽、秋葉原乗り換えで総武線各駅停車津田沼、蒲田経由なら根岸線大船、東急沿線なら帰れないのは田園都市線の鷺沼以遠だけになります。どうですか?意外に遠くまで帰ることができるでしょう。池上線の便利さ、沿線が都会である証拠の一端ですね。
 ちなみに、雪谷大塚で23時45分に乗れば小田原まで、22時30分過ぎに乗れば高崎や宇都宮まで、9時まで飲んでいても銚子まで帰れます。池上線は、こういった面からも都会の電車だと思います。

■冬の乗り越しは命取り
 ただ、遅くまで飲んで電車に乗るときは気をつけなくてはなりません。一つは乗り越し、私がよくやることです。特にJR線は要注意です。座って寝てしまうと、中央線など豊田や高尾といった遠方の終点まで連れていかれてしまい、上り電車もなく、始発まで過ごすことになります。始発がやって来るまで3時間半ぐらいとはいえ、これから冬、手軽に暖をとれるお店などもなかなかなく、24時間営業のマクドナルドも午前2時以降、席で過ごせない店舗ばかりになりました。酔っているだけに凍死の可能性も出てきますので要注意ですね。私は、山手線の高田馬場や池袋、中央線でも三鷹辺りまでなら歩いて帰ります。家まで3時間半程度で歩けますので。

■酒に飲まれてホームから転落。
 もう一つはホームからの転落です。実際に西武新宿線の高田馬場駅のホームから落ちた経験がありますが…、ホーム端を歩いているうちに足を踏み外し転落しました。落ちたときの記憶は酔っていてないのですが、気がつくと頬に冷たいレールの表面があって体は動かず、ホーム上の人々の視線が絶望的に高く見えたのを覚えています。それにオヤジじゃあ誰も助けに来てくれません。それでも、駅員が速やかに助けてくれたおかげで、電車に轢かれることなく、今もこうして飲んでいます。
 それはともかく、昨今、夜間の転落事故では、電車に轢かれて亡くなる人の半分以上が自殺ではなく、転落事故だそうです。電車の場合、飲んだら乗るなという訳にもいかず、飲んだ帰りはみなさんも十分に気をつけてください。池上線での転落事故はJRなどに比してかなり珍しそうですが、頻繁に走る電車ですので侮ってはいけません。やさしい池上線でも人間VS電車では所詮かないませんから。

出澤清明
某出版社で編集制作。幼少時から大好きな鉄道はライフホビーとして楽しんでいる。
(『街の手帖 池上線』5号より・2013年11月末日発行)
※バックナンバーのため、現在の情報と異なる場合がございます。

イラスト・大村タイシ

『街の手帖池上線』5号

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